4、”いったん股関節を鳴らしてからでないとターンアウトできない”という人達は、ターンアウトをする前には股関節の前・もしくは後ろを”緩めて”音をだしてからでないと!と思い込んでウォームアップをする習慣があります。しばらくは、この方法は有効であるように見えるかもしれませんが、効果が減少していきます。数ヶ月か数年に渡って続けている人達は、音を鳴らす回数がどんどん増えていき、以前のように音を鳴らした所で、なんの効果も感じられなくなってきます。または、音を鳴らしているエリアが、過剰のストレッチの繰り返しで痛み始めます。
5、“ターンアウトが出来すぎてコントロールが出来ない”という人達も、ターンアウトに悩まされる事があるのです。彼らに素晴らしいターンアウトがある事は周知の事実ですし、様々な素晴らしいポジションまでストレッチして行くことも可能なのです。ですが、踊っている時にそのターンアウトを使い柔軟性を発揮する事が出来ず、人から見れば”良いものを持っているのにもかかわらず、努力していない”と言われてしまうのです。
では、どのような解決方法があるのでしょうか?私達はもう諦めて、”自然にターンアウト“出来る
人でコントロール力もある人達だけが踊りつつけていれば良いのでしょうか。 踊る事が大好きなのに、良く開いた股関節ではないというだけで、何万人も達する人達が踊りを諦めなければならないなんて....どうも腑に落ちません。諦めるよりも、それぞれ個人差のある股関節にアプローチした訓練法を探し出すべきです。また指導者も個人差のある股関節の見分けを迅速に行えるようになり、生徒全員を正しく修正・指導する事が出来ように訓練するべきでしょう。
この記事では、上記に記載した2つのグループの人達に特に注目していき、安全にターンアウトの可動域を増やす方法を紹介していきます。
まず初めに理解しておくべき事は、股関節に安定性をもたらす基本的な骨格構造です。股関節が球体の関節である事はご存知ですね。ですが、その球体の関節にも個人差がある事はあまり知られていないかもしれません。受け皿が深くて安定感のある人もいますし、受け皿が前向きであったり横向きである人もいます。全てのケースが当てはまる訳ではありませんが、股関節が自然によく開く場合には受け皿が浅く、その方向も横向きである場合が多いです。
一番の問題は、本来は骨格構造による阻止が原因でない場合にもかかわらず、骨の構造が向いていないと思い込み、開いかない事を”受け入れて”してしまう事にあります。
私は29歳の時に受けたマッサージで、目の覚めるような経験をしました。マッサージによって、股関節の深層にある多くの長年に渡る緊張がほぐれたのですが、それにより私の股関節は私自身が16歳の頃の可動域をはるかに超えるまで開いたのです。この経験が、股関節が開かないと思い込み無意識に”受け入れて”きていた私の目を覚ます事になったのです。それ以降、私は多くのダンサーのターンアウト向上の可能性を信じ始め、安全にターンアウトが出来るようになる指導方法のプログラムの開発を手がけました。