足をポイントでもまたフレックスでも可動域を広げたいのであれば、足の強化の特別なトレーニングを行う必要があります。踊っている時にすでに新しい可動域で練習をする事もできますね。足の可動域はあるが、固有感覚機能が働かないし強さもない場合は、足と足首の怪我の原因になりかねます。世に出回っているフットストレッチャーの違いを調査した事はありませんが、フットストレッチャーをクラスの生徒が使用している場面を見たこともありますし、私の観察から得た意見を下に述べていきます!
1、器具の使用を好まない理由は、クラス全員が同じ器具を使用した所で、クラス全員の足に必要な柔軟性トレーニングはまったく異なります。
2、ハイパーモバイル(過度可動性)の生徒がいたら、フットストレッチャーを使う事は足の前の靭帯の伸ばし過ぎに繋がるでしょうし、足が虚弱になって怪我が起こる危険性が増してしまいます。
3、靭帯をストレッチされた状態で維持すると、その靭帯の固有感覚機能の働きが鈍ります。つまり、足が空間の中でどこにあるかを察知する感覚が鈍るのです。トウシューズを履く為には、この感覚機能の働きが非常に大切です。
4、生徒の足が硬ければ、たった一つの器具で硬い足に動きを出させる事は難しく、伸びるようにはなりません。中足骨が足根骨と当たる部分や、距骨と下腿の間に動きがより必要な場合もあります。
5、今までクリニックで見てきた足首の可動域への制限は、フットストレッチャーなどでは伸ばす事の出来ない、距骨下関節の部分の骨の問題です。逆にフットストレッチャーを使うと、圧迫されて悪影響になります。
6、土踏まずのアーチの前の方をストレッチする時は、広い範囲に渡る優しいストレッチの感覚があるでしょう。痛みがあってはならないし、ただ一箇所を無理矢理ストレッチするだけでもいけません。
7、世に出回っている器具のほとんどが、ポイントの位置を強制的に訓練するもので、結果として足首の後ろの構造を圧迫してしまいます。すでに多くの生徒達が足首後側のインピンジメントを抱えていますので、フットストレッチャーで強制的につま先を伸ばしすぎる事は、症状の悪化に繋がります。